EPISODE 1

VMO 1st Live

1994.6.10(土)ライブハウス原宿・LOS ANGELES

by MR.YF





 VMO初ライブはライブハウス原宿・LOS ANGELES。いきなりロス公演、である。




 ライブ前日の最後の練習前に、やっと出来あがった人民服。当初「間に合わない

かもしれない」とのことで、ライブ・ハウスに直接届けてもらう事態も考えたが、

無事に前日に仕上がる。しかし、ちょっと襟が大きく作られており、逆にオシャレ

な服となってしまった。その為、各自で襟を微調整する。練習も、ベストではない

にせよだいぶイイ感じで仕上がった。




 わざわざ赤い人民服を作ったからには当然、アッコ、香津美の衣装にも凝る。香

津美用には黒のカンフー服に巨大なアフロのかつら。ホンモノは全然アフロではな

いのだが、この異常なまでのデフォルメ具合がVMOらしさか。今考えると、この時点

でバンドのキャラは決まっていたようだ。フロントの大江さんと重なっても存在感

のあるデカイ頭だ。一方、アッコは当然三つ編みズラを用意。大中にてチャイナド

レスをチェックするが、エグ過ぎるのでカンフー服を改造する。しかし、そんな事

よりも、本人自らスネ毛、ワキ毛を剃るという暴挙に出たことの方が重大事件だっ

た。




 ライブ当日朝、準備のため早目に起床した私の部屋のドアがノックされる。眠た

い目でドアを開けると、そこには満面の笑みで剃ったワキを誇らしげに見せる小川

くんの姿があった。朝日のまぶしさとその光景に目をやられそうになった(私と小

川くんは同じ寮だったのでした)。その瞬間は、いまだに忘れられない(忘れた

い)。




 当日は、車2台に分乗し、途中、同じく浜松市内在住で楽器メーカーY社に勤め

ているYMOカルトQ出場者、阿部ご夫妻と合流する。布施と大江さんの共通の知合い

だ。今回のライブは、この阿部氏の結婚お祝いパーティーの意味も込められており、

いわば主賓といったところだ。

 一方、小川くんは初対面の阿部氏に対し挨拶もなく



「やぁのあきこぉでぇ〜っすぅ」〜(^^ )〜



と、無礼を炸裂する。やのあきこ、おそるべし。



 後日談ではあるが、カルトQにも出演した阿部氏であるが、当時矢野顕子のライブ

にはまだ行ったことがなかったそうで、ホンモノよりもニセモノを先に見てしまった

そうだ。誠に申し訳ない。そんなことも知らない小川くんは、



「やぁのあきこぉでぇ〜っすぅ」〜( ^^)〜



と、失礼を爆裂する。おがわひろし、おそるべし。




 浜松ICから高速道路に乗り、途中のサービス・エリアにて昼食の後、原宿到着。

法政大学在学中にプロレスのリングをトラックで運んでいたという大江さんは、都

内の道を熟知しており、駐車場探しにも困ることはなかった。




 今となっては「80%減(当社比)」というような少数の機材であったが、それでも

当時は大変な思いで搬入し、リハに望む。スネアの音がやたらイイ。クッキー缶パ

ットでシンドラ音炸裂。見守るスタッフから「おーっつ」というどよめきが起こる。




 そして初のライブの本番を迎える。






Photo by MR.YF




 赤い人民服で登場すると、どよめきと歓声で迎えられる。しかし、登場したので

はなく、前のバンドとの機材の入換え作業。ちょいとカッコ悪いか(笑)。



 1曲目は「INSOMNIA」。当時はシーケンサは使っていなかったので、頭のシーケ

ンサ・フレーズは布施が手で叩く。しかし、ここでハプニングが起こる。予想しな

かった演出で、火事のごとくスモークが噴出、ギターの野上さんが視界をさえぎら

れ入りのタイミングを失う。でも、そこはバンド経験の長い野上さん、ちょうど倍

の長さのタイミングでギターを入れ、それに合わせてベースも入る。そして、大江

さんのソーラスによるメロディ。いい音だ。もちろんボコーダーが入るとヤンヤヤ

ンヤの大歓声。マニアックな選曲ながら好評だった。



 2曲目の「中国女」は、小川あっこちゃんのウソ仏誤、いや仏語による「いやぁ

〜なセクシー・ボイス」で始まり、爆笑を起こす。ソーラスのチューニングのズレ

具合がカッコよく、演奏しながらチューニングがあっていく様子は、演出かと思う

ほどであった。



 そして、「SOLID STATE SURVIVOR」「THE END OF ASIA」と続く。布施のドラム

が突っ走ってしまうが、みんな付いて来る。唯一、追い付かなかったのは、布施の

BDだった(笑)。ギター・ソロも炸裂しエンディングを迎えた。




 そして、予想だにしなかったアンコール。とりあえずボコーダーで「そぉれぇで

ぇわぁ〜」とメンバー紹介。しかし、アンコールが止まらない。曲を準備していな

かったので困ったが、遊びで練習していたMAPSを演奏。しかし、オープニング〜イ

ントロからそのままエンディングとなる「超最短バージョン」を演奏、予想外にウ

ケル。そうして、演奏終了。ドタバタながらも、楽しい演奏であった。



 イベント終了後、ライブ・ハウス前の歩道で参加者全員によるFire Crackerの大

合唱。当然、エンディングは全員に配られた「クラッカー」を鳴らしてお開きとな

る。




 VMOのメンバーは、再び機材を車に積み、宿泊先を探すがなかなかない。ビジネ

ス・ホテルでは高い料金をふっかけられ、結局、昔布施が泊まったことのある上野

の安いカプセルホテルに行くことにする。ちょうど1年前に再生ライブがあった東

京ドームの横を通り上野に移動。風呂で汗を流し、缶ビールで乾杯するも、全員あ

っと言う間に夢の世界に落ちていき、VMOの初ライブは終わった。



                                 by MR.YF


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